トランプの起源ってどこ?1000年の旅を経てあなたの教養になる話!
- Ahan magician
- 9月15日
- 読了時間: 8分
みなさん、こんにちは!
「大富豪」や「七並べ」で盛り上がったり、マジシャンが披露する華麗なテクニックに驚いたり…。 でも、そのトランプが一体いつ、どこで生まれたのか、考えたことはありますか?
この記事は、「トランプの起源」について知りたいと考えるあなたのための、大人の学び直しコンテンツです。
なぜトランプは4つのスート(マーク)に分かれているのか? ジョーカーは一体いつ、なぜ生まれたのか? そして、トランプが日本に伝わったのはいつなのか?
実は、トランプは単なる遊び道具ではなく、遠い昔から人類の歴史と文化を映し出してきた奥深い存在なのです。
はじめまして。WebライターのAhanです。私は2015年からマジシャンとして活動し、日本だけでなくカナダでもマジックを披露してきました。現在は、マジックに関する情報を発信するサイト「Magish」と、マジックのオンラインレッスンを提供する「Mschool」を運営し、講師も務めています。 |
この記事を読めば、きっとトランプを見る目が変わるはずです。さあ、一緒に時空を超えたトランプの旅に出かけましょう。
※歴史の内容については諸説あります。この記事は、トランプの一般的な歴史を分かりやすく解説したものです。
トランプ起源の地:中国から始まった知られざる歴史

トランプの起源を遡ると、そのルーツは古代文明にまで遡るとも言われています。しかし、現在のトランプの原型が生まれたのは、10世紀から14世紀にかけてのことだと考えられています。
10世紀:中国〜イスラム圏での誕生
トランプの発祥の地として最も有力な説は中国です。唐(とう)の時代(618年-907年)に、現在の紙幣や株券に似た「葉子(イエツ)」と呼ばれるカードゲームが楽しまれていたという記録があります。この葉子は、紙の板に文字や絵が描かれており、これがトランプのルーツであるという説が有力です。
その後、このカードは交易を通じてインドやペルシャ(現在のイラン)に伝わります。特にペルシャでは「ガンジーファ」と呼ばれるカードが使われていました。このガンジーファは、元々96枚構成で、12枚のスートが8枚ずつという非常に複雑なものでした。
13世紀に入ると、カードゲームはイスラム圏全体に広まります。この時代に登場したカードは、マムルーク・カードと呼ばれ、現在のトランプに非常に近いデザインを持っていました。
マムルーク・カードって何?
4つのスート(マーク)
剣、貨幣、杯、ポロスティック(こん棒)の4種類。これは、現在のスペード、ダイヤ、ハート、クラブの原型と言われています。これらは「ラテン・スート」と呼ばれ、後にヨーロッパに伝播していきます。
48枚構成
1から10までの数字札と、3枚の人物札(王、副王、従者)で構成されていました。
このマムルーク・カードは、イスラム教の教義により人物の顔を描くことが禁じられていたため、抽象的な模様や幾何学的なデザインが使われていました。
参考文献:Wikipedia「トランプ」
ヨーロッパへの伝播:トランプの成り立ちを決定づけた大変化

14世紀に入ると、カードゲームはイスラム文化圏からヨーロッパへと伝わります。この伝播の背景には、十字軍の遠征や、イスラム商人との交易がありました。
14世紀後半:イタリアとスペインでの普及
カードゲームが最初に伝わったヨーロッパの国は、イタリアとスペインだと言われています。当時のイタリアではタロッキと呼ばれるカードが使われていました。これは、現在でいう「タロットカード」の原型です。
このタロットカードは、現在のトランプに似た4つのスートに加えて、「切り札」と呼ばれる特殊なカードが22枚含まれていました。
15世紀:フランスでのトランプの完成
トランプが現在の姿になったのは、フランスの功績が非常に大きいとされています。
15世紀、フランスでは「ジュ・ド・カルト」と呼ばれるカードゲームが流行しました。この時期に、トランプのデザインに大きな変化が起こります。
【フランスでのスートの変遷】
元のスート(イスラム圏) | 新しいスート(フランス) | 意味 |
|---|---|---|
剣 | スペード(Spade) | 貴族、騎士 |
貨幣 | ダイヤ(Diamond) | 商人 |
杯 | ハート(Heart) | 聖職者 |
棍棒 | クラブ(Club) | 農民 |
これらの新しいスートは、当時のフランス社会の階級を象徴していたとも言われています。スペードは貴族や騎士、ハートは聖職者、クラブは農民、ダイヤは商人といった具合です。この新しいスートは「フレンチ・スート」と呼ばれ、現在世界で最も広く使われるようになりました。
また、フランスではカードのデザインにも工夫が凝らされました。特に人物札には、シャルルマーニュ大帝やアレクサンダー大王といった歴史上の英雄がモデルとして描かれました。これにより、トランプはより親しみやすく、視覚的にも魅力的なものになりました。
意外と知らないスートの真実。 トランプのマークに秘められた意味を知れば、トランプが100倍面白くなります。
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ヨーロッパから世界へ:トランプのグローバル化

16世紀に入ると、トランプはヨーロッパ各国で独自の進化を遂げ、グローバルな存在となっていきます。
16世紀:イギリスへの伝播と「King」の確立
フランスから海を渡ってイギリスに伝わったトランプは、さらに大きな変化を遂げます。
特に重要なのが、人物札の呼び名が統一されたことです。
【イギリスでの人物札の変遷】
フランスでの呼び名 | イギリスでの呼び名 |
|---|---|
King(王) | King(王) |
Queen(女王) | Queen(女王) |
Knight(騎士) | ※廃止 |
Jack(従者) | Jack(ジャック) |
イギリスでは、Knight(騎士)のカードが消え、現在のトランプと同じ52枚構成の基本形が確立しました。この52枚という数字は、1年間の週の数(52週)を表しているとも言われ、興味深い一致です。
19世紀:アメリカでのジョーカーの誕生
トランプの歴史で最も新しい、そして重要な出来事の一つが、ジョーカーの誕生です。
ジョーカーは、19世紀のアメリカで生まれたと言われています。当時は「ユークレ」と呼ばれるカードゲームが流行しており、このゲームで最も強い切り札として「ジョーカー」が導入されました。元々は「ベストバウアー(Best Bower)」と呼ばれていましたが、後に「ジョーカー(Joker)」という名称が定着しました。
その後、ジョーカーは様々なマジックやゲームに利用されるようになり、トランプに欠かせない存在となっていきました。
日本への伝来:トランプが日本に上陸

トランプがいつから日本に存在したのか、その歴史を紐解きましょう。
16世紀:南蛮貿易による伝来と「天正カルタ」
トランプが日本に初めて伝えられたのは、室町時代から安土桃山時代にかけて行われた南蛮貿易の時期です。ポルトガルやスペインの宣教師や商人によって持ち込まれました。この頃のポルトガルから伝来したカードは「天正カルタ」として知られています。
しかし、当時の日本にはすでに「カルタ」や「歌留多」といったカード遊びが存在していたこと、そしてキリスト教の布教ツールとして使われたため、江戸幕府によって禁止令が出され、庶民にはあまり普及しませんでした。この禁止令をかいくぐる形で、独自に発展したのが花札やうんすんカルタです。
19世紀:明治時代以降の本格的な普及
トランプが日本で広く親しまれるようになったのは、明治時代以降のことです。
文明開化の流れの中で、欧米の文化とともにトランプが本格的に普及し始めました。学校教育にも取り入れられ、子供たちの間でも広く楽しまれるようになりました。
そして、第二次世界大戦後には、アメリカの占領下で、より手軽で洗練されたデザインのトランプが大量に輸入され、日本中にトランプブームが巻き起こりました。
まとめ:トランプは歴史を映す鏡

トランプの歴史を振り返ると、それは単なる遊び道具の歴史ではなく、人類の文化や社会、そして交流の歴史そのものであることがわかります。
年代 | 地域 | 出来事 |
|---|---|---|
10世紀 | 中国 | トランプの原型「葉子(イエツ)」が誕生 |
13世紀 | イスラム圏 | 4つのスートを持つ「マムルーク・カード」が普及 |
14世紀後半 | イタリア・スペイン | イスラム圏からヨーロッパへ伝播、タロットカードの原型が使われる |
15世紀 | フランス | 現在のスペード、ハート、クラブ、ダイヤのスートが完成 |
16世紀 | イギリス | 騎士のカードが消え、現在の52枚構成の基本形が確立 |
19世紀 | アメリカ | 切り札として「ジョーカー」が誕生 |
16世紀〜 | 日本 | 南蛮貿易で伝来するも、本格的な普及は明治時代以降 |
今日、私たちが何気なく使っているトランプは、それぞれの時代や地域で工夫され、形を変えながら、長い旅を経て私たちの手元に届けられたのです。
この話を知った上でトランプを手に取ってみると、ただの紙片ではなく、まるでタイムカプセルのように感じられるのではないでしょうか。
そして、トランプの世界で最も有名なあのブランドの歴史も知ることで、より知識が深まります。
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※歴史の内容については諸説あります。この記事は、トランプの一般的な歴史を分かりやすく解説したものです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。





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